2011年10月19日水曜日

UE700r レビュー


 UE700rは、Ultimate Ears(日本国内販売代理店:Logicool)から2009年に発売されたUE700の改良型である。価格が大きく抑えられ、同封物のアッテネータが省かれている。使用されているドライバーは同じ物(TWFKカスタム?)らしいが、ハウジングが若干異なっているせいか周波数帯域に違いがある(後述)。製品名はUltimate Ears 700 Noise-Isolating Earphones。Noise-Isolating Earphonesは訳すと遮音性イヤホンとなる。

 EU700rはバランスド・アマーチュア(以下BA)型の駆動方式を用いたカナル型イヤホンであり、性質の異なる二基のBAドライバー(中高域用と低域用)を一つのイヤホン内に搭載する事で、BA型の周波数帯域の狭さを補うと同時に音の分離度を向上させている。スペック上の周波数帯域は20 - 20,000Hzであり、(改良前のUE700は10 - 16,500Hz)ダイナミック型にさほど見劣りしない。

 再生特性は概ねフラット。やや高域が強く、全体的にドライな印象がある。改良前のUE700ではシンバルや女性ヴォーカルが耳に刺さるとの不評があったが、こちらでは幾分改良されているのかもしれない。低域は控え目ながら丁寧に鳴らしており、特に不足を感じるような事は無い。TripleFi 10(TF10・10pro)のような所謂モコモコ感も無く非常にクリアだ。分離度が高い事もあって、正にモニター用を意識した作りとなっている。良い言い方をすれば、曲を選ばない。悪い言い方をすれば、個性が少なく中毒性が無い。日頃からバスブーストを常用しているような方にはあまり向かないかもしれない。

 非常にコンパクトで装着感が良く、実売価格も一万五千円を切る比較的手を出しやすい価格帯であり、多くの人にお勧めできそうだ。これからBA型に手を出してみようという人には
特に良いのではなかろうか。これより低い価格帯にはシングルドライバーの製品も存在するが、シングルドライバーはどうしても周波数帯域が狭くなってしまう為、物足りなさを感じる人が多いだろうと思う。入門機にはデュアルドライバーを強くお勧めしたい。

*使用して直ぐは少し音に違和感があるが、一週間もすればエージングが効いてくるのか、はたまた使用者の耳が慣らされるのか、違和感が無くなる。
*Logicool製品は総じて個体差が大きい。(検品工程が甘い?)特に左右の音のバランスが崩れている固体については注意し、早目にメーカーに交換依頼を出すべきだろう。時間が経つと新品でなく修理再生品(中古)が返って来る可能性がある。

 amazonで取り扱いのUE700rは2011/10/19現在、平行輸入品ではなく正規代理店の日本語パッケージとなっている。(マーケットプレイスはその限りではない。)初期不良対応のみで良い場合は別として、保証期間内の修理ないし修理再生品への交換といったアフターサポートを望む場合は、価格差がさして大きくなければ正規代理店経由での購入を強くお勧めしたい。平行輸入品の場合、修理時に他国への送料を実費負担させられる場合がある。あるいは、そもそも対応して貰えない事もある。イヤホンは特に通常使用でも断線し易い傾向にあるので注意が必要だ。