2013年9月13日金曜日

SCYTHE SARA3 レビュー

2011年10月に発売されたサイズ製PCケース、
SARA3についてのレビュー。

microATXケース並みの幅のスリムケースにも関わらず
ATXマザーボードとATX電源が搭載可能で、
余ったパーツを用いてセカンドPCを組む際に重宝する。
ファンコントローラーと温度センサーを内臓し、
ケースファン回転数が自動的に制御されるようになっている。
(温度や回転数の任意指定は出来ない。)
安価にも関わらず全体的に作りが良く、剛性が高い。

発熱量の少ない省エネPCを組む場合においては静穏である。
Celeron G1610を用いて組んでみたのだが、
ケースファンの回転数は常に最低値の1000rpmであり、
電源やCPUファンの回転音が耳につくいらいだ。
(配線を誤ると最高値である2000rpmで回り続けるので注意が必要。
 2000rpmはかなり耳につく音量になる。)

5インチベイに光学ドライブを一基、
3.5インチシャドウベイにHDDを一基内臓する事が出来る。
5インチベイは蓋付きで、ボタンを押すと
光学ドライブの動きにより開閉する仕組みになっている。
3.5インチシャドウベイには冷却する仕組みが無いため、
二台用変換マウンタを用いて
2.5インチドライブを二基搭載するような真似は避けた方が無難だ。
3.5インチHDD一基ですら、冷却状態はあまり好ましいものではない。
ちなみに、シャドウベイの前面にはUSBポート等のインターフェースがあるため、
3.5インチベイ用吸気ファンのような機器は取り付ける事が出来ない。
前面インターフェース

個人的には、シャドウベイに2.5インチHDDを取り付け、
側面パネルの適当な位置にSSDを貼り付けてしまう事をお勧めする。
この状態で、室温27度でHDD・SSD共にアイドリング状態で36度程度。
書き込みを長時間行っても温度が危険域に達するような事は無いようだ。
SSDも2.5インチHDDも比較的低発熱ではあるものの、
書き込みが続くとどうしても熱を持ってしまうので、
この二つを隣接させてしまうのは好ましくない。
特にSSDは発熱しないと油断しておられる方を多く見受けるが、
あれは間違った知識なので留意されたい。
あくまでも3.5インチHDDに比べれば低発熱というだけだ。


このPCケースには3つの欠点がある。
1つ目は搭載するATX電源を選ぶという事だ。
ファンガードやエンブレム等、
出っ張る物があると干渉してしまう場合がある。
ファンガードであれば外してしまえば済むのだが、
メーカー保証が切れてしまうので好ましい事とは言えない。

2つ目は電源の吸気用穴の位置がおかしいという事だ。
何を基準に穴を開けたのかわからないが、
電源吸気口の約3分の1が塞がってしまう。
一応触れておくと、SCYHTE製電源でもやはり塞がってしまう。
熱を持ち易い電源の場合、吸気が十分に行えず
ファン回転数が上がって騒音の原因となる可能性がある。

3つ目はLCDディスプレイのグラフィカルサウンド機能に
難があるという事だ。
音声出力時にグラフィックイコライザが動作するという機能なのだが、
メーカーによれば7.7mV以上で小さく動き出すとの事で、
これは常人がヘッドホンで常用する出力電圧を大きく上回っている。
かなりの大音量にしなければ、グラフィックイコライザが動作しないのだ。
背面のLine Outから出力し、ボリュームコントロールを内臓した
スピーカーで音を絞って再生するという用途であれば問題無い。
ちなみに、グラフィックイコライザはHDMI出力の音声には対応していない。
ランダム発光するLCDディスプレイ

以上、完璧な商品とは言い難いのだが、
それでも総評として十分にお買い得なPCケースなように思う。
特に鉄板のぶ厚さ、剛性の高さには
購入者の多くは良い意味で期待を裏切られる事だろう。
Fractal Designの静穏ケース「Define」シリーズと同じような感じだろうか。
0.8mm厚だし、表面塗装の質感も同じように見える。
スリムなATXケースをお探しの方に是非お勧めしたい。



サイズ ATXスリムタワーケース 「SARA3」 ブラック SARA3/A