27型VA方式液晶ディスプレイである。
AUO製の新型VA方式パネルを採用しており、
他の方式を寄せ付けない圧倒的なコントラスト比を誇りながら
従来のVAパネルの致命的な欠点であった応答速度を大幅に改善している。
AUOというパネルメーカーは聞きなれないという方が多いかもしれないが、
ソニー製スマートフォン等への採用実績もある所なので
不安要素として考える必要は無い。
価格の割りに作りの良いスタンドを標準装備しているのも魅力である。
ちなみにラインナップは今のところノングレアのみとなっているが、
一時期問題になっていた目潰しパネルのような
ギラギラ感は無いので安心していただきたい。
具体的なところに触れていこう。
まず、画面の色ムラについて。
http://flexcode.org/lcd.html にて全画面表示させたものを
デジタルカメラを用いて撮影してみた。
残念ながら実際の発色とはかけ離れているので
発色については全く参考にならない事を先に述べておく。
black (000000) |
といっても実際の見え方はここまで酷くない。
全体的にもっとVAパネルらしい引き締まった黒色になる。
ただ、画面両サイド…左右の端の部分がうっすら白がかって見えるのは確かだ。
全画面均一に引き締まった黒色、というわけにはいかない。
ちなみにこれは、ディスプレイと目の距離が離れるほどに改善され、
逆に近付くと悪化する。
ノングレア処理の悪影響なのだろうか?
LEDはメーカーHPによるとディスプレイの上下に付いているようなので
LEDの光漏れというわけではなさそうだ。
フードを付けても症状は改善されないため、
環境光の影響というのも考え辛い。
ちなみにノングレアという事で、例え接近しても
使用者の顔が反射して映りこむような事は無い。
white (FFFFFF) |
実際の見え方はほぼ気にならないと言って良い。
色ムラらしい色ムラは視認出来ない。
薄暗くなってしまっているが実際の見え方はもっと明るい白色だ。
以下、特に意味は無いが一応R・G・Bについても載せておく。
red (FF0000) |
実際の見え方は赤である。
green (00FF00) |
実物はもっと明るい緑になっている。
blue (0000FF) |
以上が色ムラについての参考画像である。
繰り返しになるが、実物とは発色が全く異なるので注意されたい。
(フォトショップでの調整はあえて行わず縮小・トリミングのみしている。)
気になるのは黒の全画面表示のみ。
他の色ムラは問題無いと言って良い。
応答速度について。
この製品のスペック上で最も不安要素となるのが応答速度で、
同価格帯のマルチメディアディスプレイと比較するとかなり遅いのだが、
実際の見え方は十分に実用域と言える。
前世代のAUO製VAパネルは引きずり感が明らかにあったが、
こちらは気をつけて見ないと気付かないレベルだ。
映画やゲームといった激しい動きのあるものでも十分に楽しめる。
ちなみに私はオーバードライブ無しで常用しているが、
この点において特に不満を感じた事は無い。
応答速度と画面のカクつきを混同しておられる方がよくおられるので
念の為触れておくが、
画面のカクつきに関係するのは走査周波数であって
応答速度が如何に速かろうと改善される事は無い。
詳しくは「120Hz駆動パネル」で検索されると良い。
遅延について。
格闘ゲームで僅かに違和感があるので
おそらく遅延面で優秀という事は無いように思うが、
測定器具を持っておらず具体的な数値が分からないため
これについては発言を控えたい。
FPS等では全く支障無いレベルなので
特別酷いという事もなさそうだが…。
視野角について。
公式HPではVAパネルらしからぬ高視野角を謳っているが、
個人的にはそこまで広いように感じなかった。
あくまでデスクトップPC用、
正面からの使用を前提とする事を推奨したい。
色について。
色域、ガンマ補正曲線共にこの価格帯としては標準的。
劣らず優れず。特筆すべき点は無い。
勿論色温度やカラーバランスの調整は可能である。
標準状態でコントラスト比が優れる点は有用で、
映画やゲームの特に暗所において視認し辛かった部分が
はっきりと視認出来るようになった。
IPSパネルのディスプレイにもコントラスト比を向上させるモードが搭載されている事が多いが、
あれらのような強調された不自然さがVAパネルには無い。
音質について。
2W*2のスピーカーを内臓している。
あくまでディスプレイ内臓スピーカーとしての評価になるが、
比較的良い出来に分類されるように思う。
分離度は低いが、全域そこそこ良く鳴らしている。
ヘッドホン出力は音質以前の問題として
奥まった位置にあるため非常に抜き刺しし辛く実用的ではない。
USBオーディオ変換アダプタ等の使用をお勧めしたい。
他の装備について。
標準装備されているスタンド「パーフェクトスタンド」はかなり堅牢な作りで、
かつチルト・ピポット・高さ調節の動きがスムーズで大変出来が良い。
この価格でこの完成度のスタンドが付いてくるのはお買い得とすら言える。
購入検討時には「こんな物付けずにもっと安くしてくれよ…」などと思ったものだが、
これは絶対にあった方が良い。便利だ。
大量のテキストを入力する際や、
縦に長い絵を描く場合に重宝するようになった。
パーフェクトを自称するだけの事はある。
USBポートは4つもついているが、正直何に使えば良いのか分からない。
マウスやキーボードのレシーバーを刺すくらいだろうか。
ちなみにPC本体からUSBケーブルを繋いでいるだけなので
単にバスパワー式のUSBハブを内臓しているだけと考えた方が良い。
これ単体で、PC非接続で携帯電話の充電等は出来ないので注意されたい。
HDMI入力端子は一つしか搭載されていないため、
別途切り替え器の購入が必須となる。
また、リモコンが付いていないため、
操作性はあまり良いとは言えない。
私は机上の作業領域を確保した結果
ディスプレイとの距離が開いてしまい文字が見え辛くなったので
仕方なくディスプレイの大型化を図ったくちなのだが、
その場合はディスプレイと自分との距離が開いているせいで
本体のボタンを操作するには前かがみになって手を伸ばさなければならない。
これが地味に苦痛なのだ。
また、色モード切替やODを有効にする際に
リモコンであればワンタッチで済むものが
このディスプレイの場合はボタンを何度か押してメニュー画面から操作せねばならず、
手間がかかってしまう。
ちなみにボタンは一般的な押しボタンであり、タッチセンサーではない。
デザインについて。
公式サイトの画像ではロゴマークがハッキリしているが、
実際は目立ちにくいグレー色になっている。
自己主張が少なく好感が持てる。
枠は光沢が無く実用的である。
電源ランプは間接光とでも言うのだろうか、
スタンド台座の手前がぼんやりと青く光るような感じになる。
これも実用的で良いように思う。
ただし、ピポット機能で画面を常に90度傾けて使用している場合、
この電源ランプはまるで役に立たなくなる。
27型ディスプレイはそもそも購入選択肢が少なく、
発色の悪いTNパネルを避けた場合だと
おそらく競合するのはRDT272WX辺りなのではなかろうか。
三菱ディスプレイはコストパフォーマンスに優れる傾向にあり、
RDT272WXも価格の割りに高機能、かつ保証も充実していて
(iiyamaは3年保証を謳っているが、
残念ながらパネルとバックライトは例外として1年保証扱い。
三菱ディスプレイはそれら込みで全て3年保証。)
非常に魅力的な商品なのだが、
それら魅力を半減させる大変残念な要素がある。
色ムラが酷いのだ。
RDT272WXは店頭に展示されている事が多いので
是非全画面白表示にして確認して見て欲しい。
正直、見れたレベルではない。
デジカメの画像を加工したり絵を描いたりする者にとって
あの色ムラは致命的だ。
また、HP閲覧時にも白表示領域は多い傾向にあるので
人によっては多大なストレスとなる。
色ムラさえ無ければ良いディスプレイなのだが…実に惜しい。
総評として、ProLite XB2780HSUは悪くない選択肢なように思う。
ライトユースであれば大抵の事をそつなくこなす事が出来る。
お勧め出来るディスプレイだ。
※Mac mini Late 2012ユーザーの同胞達へ
Late 2012はHDMI出力の電力が低いのか
HDMIセレクターを用いると正常に表示する事が出来ない。
(同時使用中の機器が他にあり、他の機器から電力が
セレクターに供給されている状態では正常に表示させる事が出来る。
しかしMac mini単体でセレクターに電力供給を行うと表示出来ない。)
XB2780HSUにはHDMI入力が一つしか搭載されていないため、
このディスプレイを他の機器と共用する際には
場合によってはMac miniにDVI変換コネクタをかませるなり
HDMI-DVIケーブルを用いるなりして
ディスプレイに直接接続する必要があるため注意されたい。
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